2023.2.10
2023年2月10日、宮崎地方裁判所民事第1部(小島清二裁判長)は、保護費の減額処分の取消しを命じる原告勝訴判決を言い渡しました。
これまでに言い渡された14の判決のうち、原告勝訴判決は、2021年2月22日の大阪地裁判決、2022年5月25日の熊本地裁判決、同年6月24日の東京地裁判決、同年10月19日の横浜地裁判決に次ぐ全国5例目となります。
昨年5月の熊本地裁判決からは4勝1敗と、流れは完全に原告側に来ています。
宮崎地裁判決は、「デフレ調整(物価考慮)」について、①基準部会等における専門的知見による検証・検討が行われていないこと、②平成20年を起点とする合理的理由が示されていないこと、③その基礎とされた「生活扶助相当CPI」の算出に当たり、テレビやパソコンの物価下落による影響を過大に評価した可能性があることなどから、「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くといわざるを得ない」と断罪しました。
小島裁判長は、判決の言い渡し後、訴えから8年余りを要し、この間、原告の1人が亡くなったことに触れ、「審理開始から長い期間を要したことで判決を受けることができなかった原告がいることはいち裁判官として遺憾に思っている」と述べました。裁判長がこうした所感を述べることは異例のことであり、国には自ら誤りを認め直ちに保護基準を是正することが求められています。
判決後に開かれた記者会見では、熱心に質疑応答が行われました。